「シベリア超特急(略してシベ超)」 水野晴郎監督 インタビュー
2001年8月25日(土)


 去る8月25日(土)、「シベリア超特急(略してシベ超)」2作品を引っさげ、映画解説者であり、そして映画監督である水野晴郎さん(監督名はマイク・水野)が初来仙!カルト的人気を誇る記念すべき初監督作品「シベリア超特急」、そしてファン待望の(?・笑)続編「シベリア超特急2」の、一日だけの上映会が開催されました。トーク・ショーの時間が近づくにつれ、フォーラムのロビーには続々と人が集まりだし、一種異様な(^_^;)熱気に包まれていました。そして今回はそのトーク・ショーに先駆けてのインタビュー。ご本人、そして「シベ超」第1作で山下将軍の片腕・佐伯大佐を演じた西田和晃さん(元お笑いコンビ「盆と正月」の盆=愛称ボンちゃん)と共に、「シベ超」撮影裏話、映画への愛、そして核心の次回作まで、約一時間を頂いてじっくりお話を聞きました。もち!その全文プラス、トーク・ショーでのエピソードも少しだけお贈りしちゃいます♪(ネタばれ有り。まだ見ていないから知りたくない!という方は、読まないがいいです。
   ※インタビューは敬称略。水野監督=水野、西田さん=ボン、インタビュアー=イ と表記
   ※途中の(注)釈は、最後に載せてあります

水野「水野晴郎と申します。よろしくお願いいたしま〜す(満面の笑み)」
 「よろしくお願いします。仙台にいらして頂き、本当にありがとうございます。水野監督はこれま で映画会社の宣伝、そして映画解説者、そして今回はいよいよ映画を作る監督となられましたが、そもそも『シベリア超特急』を撮ろう!というキッカケは何だったんでしょうか」
水野「僕はね、だいたい20歳過ぎで映画の世界へ入った訳なんですが、最初はとにかく宣伝の仕事がしたかったんですよ。も〜のすごく宣伝の仕事だけしたかった。というのは、当時は我々の青春時代ってのは映画しかなかったですからね。映画で全ての勉強をさせてもらった訳ですね。例えば音楽にしてもクラッシックは映画から教えてもらったし、世界文学の名作にしても全部映画から教えてもらった訳ですね。やっぱり映画が好きになって好きになって、イイ映画見て感動して心の中が洗われて、こういうイイ映画をホントにみんなに観てもらいたいという気持ちが高じてですね、それをPRする宣伝の仕事がしたかったんです。で、アルバイトから飛び込んで行って、15年間宣伝の仕事をやりましたよね〜。今度はたまたま日本テレビで『映画番組ができるから やらないか』という事をきっかけにして、僕自身が映画評論家として独立した訳ですね。まぁ映画解説というよりも映画批評家になりたいと思って、一生懸命努力してみた訳ですね。それが通算で約、そうですね〜…約35年になるんですね、早いもんでね。それでまぁ偶然、『映画を一本撮ってみないか』っていうお話があった訳なんですね。それは山のように映画を観てるから、面白い映画を作れるんじゃないかっていうお話を頂いて、僕は監督になる気持ちも役者になる気持ちも毛頭無かったんだけども、まぁ、映画人であるからには『やってみるか!』という事でやる事になった訳ですね。それで題材は何にしようかな〜って時に、たまたまその前に日活の『落陽』という映画で、山下陸軍大将の役が『水野さん似てるから やってくれないか』って言われて、まぁゲスト出演した訳なんですね。それが僕も凝り性だから、ゲスト出演ではつまんないんで、山下将軍の人柄とか生き方とか勉強してから役作りをしたい…な〜んて事を考えまして(笑)、その参謀だとか副官の方にお会いして、色んなお話を聞いたんですね。そしたら山下将軍っていうのは軍人でありながら大変な平和主義者で、中国との戦争を早く止めなきゃあかん!とか、アメリカと戦争しちゃ、ドイツと結んじゃあかん!とか、そういう事を盛んにおっしゃった方だった。それでその生き方に惚れ込んじゃったんですね。それで『落陽』は完成したんですけども。その時に一緒にお話聞いたのが、彼が1941年にヨーロッパの視察でヒトラーやムッソリーニと会って、その後シベリア超特急に乗って帰って来たっていう実話を聞いてた訳ですね。面白いなぁ、そういう事があったんだなぁと思ってたんです。それで映画を作れっていう時に、これを映画にしたら面白いんじゃないか!山下陸軍大将を探偵にしてみたら、今までの日本映画には無いようなユニークな人材ができるんじゃないか!ってなりましてね。アメリカ映画にはそういう探偵がいっぱいいますよね。例えば日本の金田一耕助だと、これは探偵さんだから当たり前だと。そうじゃなくて全然別の人が、自分はそんなに動かないんだけれども部下を手足のように使って、自分で推理をしていくっていうね、そういう面白さをやってみたいなという気になりましてね。オマケに僕がたっくさん山のように観てる名作の中で、自分の心の中にいっぱい残った映画、それを映像の面白さ、特に映画とはこういう風に面白いんだという事を頭の中に叩き込んでありますんで、それを自分なりに消化して、その上で出してみたいなという気がした訳ですね。その一つの素材として、シベリア超特急という列車であり、密室であり、面白いんじゃないかなって選んだ訳ですね。そっからスタートしちゃった訳です」
 「やはり監督の、映画への『愛』が注がれた作品という事なんですね」
水野「そうですね♪やっぱり僕は映画好きですし、映画の面白さってエンタティンメントだと僕は思うんです。色んな作り方があってもいいし、ホラーで脅かす方もあってもいいし、それから私小説的に作家の心の中をお話なさる方があってもいいし、それはもう自由だと思うんです。でも僕は映画は、1,800円頂いてお客さんに観てもらうんですから、エンタティンメントであって然るべき。それでう〜んと映像の面白さで楽しんでもらって、私という人間が言いたい事を、チラッとテーマとして受け取っていただければ、それでイイんじゃないかなって思うんですね。私の言いたい事っていうのは、やっぱり『戦争反対』なんですね。僕なんかは丁度、戦争の最後の生き残りになってくる訳ですよね。もう僕も70歳になったし。若い人にとっては戦争は大昔の事で、もう消えていこうとしている。でも消しちゃいけない事もあるんじゃないか、記憶しておかなくてはいけない事もあるんじゃないか、戦争ってのはこんなに悲しい事を残していくんだよっていう事をね、やっぱり僕のテーマとして若い人に残していきたいんですね。それをエンタティンメントで包みながら、最後にチラッと心の中に残っていけばいいな…っていうのが、僕の狙いなんですね」
 「特に『シベリア超特急』1も2も、第2次世界大戦・前夜に起こった話じゃないですか。あれほど山下大将が戦争回避っておっしゃってるにも関わらず、戦争が起こってしまった…っていうのが、根本的な一番の悲劇だと、確かに思いましたね。では、ここからは各作品に関してお聞きします。まず1作目なんですが、やはりタイトルと、内容を見せて頂いて(アルフレッド・)ヒッチコック(注・1)へオマージュを捧げていると思いますが、その点に関しては…」
水野「これはまず1の方ですね。おっしゃる通りですね。ヒッチコックがメインになってます。それだけじゃなくって後はウィリアム・ワイラー(注・2)だとか、日本の吉村公三郎(注・3)っていう監督の作品のオマージュが大変多く入っています。例えばヒッチコックで言うなら、身代わりになった女性が二人一役ですよね。それが髪を洗うシーン。これはヒッチコックの『マーニー』なんですね。その作品でティッピー・ヘドレン(注・4)が髪を洗ってパーッと顔を上げた時に金髪になっていて、それがものすごくショッキングでキレイだったのでそれがやりたい。それから、洗面台を水がサァーッと渦を巻いて流れていく所は『サイコ』ですよね。それからかたせ梨乃が撃たれて倒れる所、あそこは『トパーズ』の最後で恋人が撃たれる所である訳ですよね。それから列車の横を這って行く所で、向こうから列車が来る、これは『バルカン超特急』ですよね。えっへへ(笑)、だからそういうイイ所を頂いて、それを自分のアングルで撮ってみるんです。ところがお金が無いんで思うように行かない所が多分にありました。これはもうその範囲でやらなきゃしょうがないんで。ご批判もあるでしょうけども、それはその範囲でやった訳ですから。それから吉村公三郎の影響っていうのも大変大きくって、ユダヤの方が倒されて、持っている拳銃が列車の廊下をサーッと流れる所、あれは『安城家の舞踏会』っていう、戦争が終わって次の次の年ぐらいにね、吉村公三郎が戦場から復員してきて監督した作品があるんですね。『桜の園』みたいな話で。没落貴族の滝沢修さん一家がダメになって行く、最後のパーティーをやってこの屋敷を手放そうという事になるんですね。そして絢爛でロマンチックな最後のパーティーが終わった後、朝の光が入ってきて誰もいないホールで彼がね、たった一人で拳銃自殺をしようとしてるんですね。それを陰から次女役の原節子さんが見てる訳です。そして「お父さんやめて!」と飛びかかって行くんですね。そうしたら拳銃がフロアをサーッと流れて行くんですよ。あれがもう、ものすごく少年の頃の心の中に残ってましてね〜。あれやってみたいなぁ〜っていう事になりましてね(ニコニコ)。それで再現してみた訳なんですね。あと梨乃ちゃんが列車の中で本を読んでる。その外を赤や青の光がチラッチラッと通って行く。それもね、吉村公三郎の『夜の河』っていう映画の中で…。これは山本富士子さんが初めてスターになった映画なんですけどね。その中で上原謙さんと二人で食堂車に乗ってるんです。それで上原さんからの視点で山本富士子さんを見てると、その横の窓に赤や青の光がパァーッと流れて行くんですね。それがね、ものすご〜く新鮮でね。だからあれの逆。逆に光が流れるのをしたんです。やりたくて再現したという、そういう事がいっぱいある訳なんですね。ははは。洋画に限らず邦画もいっぱい入ってるんです(笑)」
「かたせ梨乃さんは、監督が今まで見られた数々の映画に出ていた、どの女優さんのイメージで作られたキャラクターだったんでしょう」
水野「そうですね。というよりも僕は梨乃ちゃんと友達だったんで、「11PM」(注・5)を彼女がやってる時から僕もそれにしょっちゅう出てて、そんな関係でお話しまして。一度一緒に仕事しようね!って話してたんです。それでたまたま久しぶりに会って、今度映画撮るから出てよ。キレイに撮るからね!って話したら「出る出る!」って言ってね。それで出てもらったんです(笑)」
「その梨乃さんを初めスタッフの方々も、衣装がコシノジュンコさんですとか、英語字幕が戸田奈津子さんとか、豪華な面々ですよね。そちらはどういった経緯で…」
水野「そうそう!もう僕の友達ばっかしです(笑)」
「あ、そうなんですか(笑)?」
水野「はい(笑)。特に第一作なもんでね、自分で自分の仲間にお願いしてやった訳ですね。カメラマンが安藤(庄平)さん、これは『泥の河』とか『麻雀放浪記』のね。それから『敦煌』の美術監督の徳田(博)さんがセットを作ってくれたりですね。皆さんがそれぞれにお友達という感じで協力してもらった訳ですね」
イ「逆にお友達とは言え、それだけのスタッフを集めてスケジュールを合わせるのは大変だったんではないですか」
水野「確かにそうですね。それは2(シベ超2)にも言えるんですけどね。あれだけの女優さん集めるのは大変でしたもんね〜(笑)」
「あははは、なるほど!それでは2の方に話題を移らせて頂きます。今出ましたように、本当にベテランの素晴らしい女優さんたちが出演されてますが、特にラストの方で一人一人が列車に乗った経緯を一人一人前へ出て語られるシーン。あそこは一発撮りですか?それとも一人一人の分を撮って、編集で…」
水野「いえ、そうでは無いです。一発撮りですね。あれは一晩の内に撮っちゃったんです。皆さんに集まってもらって、リハーサルやって。それで後から個人のアップを撮っていったんです。あれはやっぱり皆さんね、緊張もなさるし、周りにライバル女優さんがいるんでものすごくライバル意識が出てね、かえって良かったんでしょうね。皆さん一人一人に見せ場を差し上げたんで、これが良かったと思いますよ。まず淡島(千景)さんが長々としたセリフをやるでしょ?あれが終わった時に皆さん拍手されましたもんね。すごいな〜って事でね。淡島さんは本当に立派な方で、台本を現場に持って来ないんです。もう全部頭の中に入ってるんですね。それで後で聞いてびっくりしたんですが、あれほど長い歴史を持つ大女優の淡島さんが、殺人だとか人を殺すとかっていうセリフを今まで言った事が無いんですって」
「そうなんですか!?」
水野「うん、そういう役柄今までやった事無いんですって。だから「ものすごく緊張したわよ〜わたし」って。あははは。だから大変だったんだね〜って後から言ったんですけどね。それから草笛(光子)さんはね、お父さんのお話して泣かせるし。皆さんがそれぞれ見せ場を持ってくれたんで、大変うまくいったんではないかな〜と思いますけどね」
「まさしくあそこはクライマックスのクライマックスで、その一人一人のエピソードで感動してしまいましたね〜」
水野「ありがとうございます(ニコニコ)。その一人一人のエピソードで売りたいなとも思いましたしね。一人一人が戦争の影を背負ってるんです。226の影を背負ったり。色んな形で日本の歴史を背負ってる人たちばっかりですもんね。日本だけじゃなくってヨーロッパの歴史をも背負ってる訳なんです。ですからそういう事を表現するのが、僕でなきゃやれないんじゃないか!とね(笑)。他の人もおやりになるでしょうけども、僕は国際的な範囲で見ていきたいという気持ちが多分にありますんでね、ヨーロッパなり日本なり幅広く、そういう人たちの背中に背負ってる歴史みたいなものを語っていきたいなという気がするんですね。」
「なるほど〜。その2で女優さんたちが演じられている現場で、こんな事があったというようなエピソードがあればお話頂きたいんですが」
水野「山のようにありますよね〜(笑)。というのはね、えっへへ。まず最初の長回しの11分のシーンありますよね。日本映画史上最高の長回しですけどね。
「計らせて頂きました(笑)」
水野「あれはも〜ホントに皆さんね、まずスタッフから絶対無理だから止めようと言われたりね(笑)。そうとう反対くって、それでもやる!って言ってやったんです。それで女優さんたちがものすごい緊張なさってね。順番で出て来るから、途中の人がトチると全部パアですからね。皆さん間いかん!って事で一生懸命おやりになる。で(笑)、長門さんがからかったんだけど「一番心配なのは水野さんだ!一番最後に出てくるから一番危ないぞ」ってね。あっはっはっは」
「最後が一番気が抜けないですからね〜(笑)」
水野「でも僕はね、全然プレッシャーを感じないんですよ。平気でケロッとしてたんでみんな笑ってましたけどね(笑)。淡島さんがそばにいらっしゃったって事もありますしね。助けて下さったからだとも思いますね。皆さん最後には「快い緊張でした。映画でこれだけ緊張したのは久しぶりね」って。皆さん映画は久しぶりでしょうし、それだけやってくれたからそれだけの良さがあったって事でしょうね。あと緊張したって所は過去を告白する所。カメラへ向かって一人喋りでしょ。あそこは皆さんすごく緊張されてね。(中村)福助さんの所は短くて楽だったんですけども、あとの女優さんたちがみんなね、他の女優さんの演技を見てるんですよ。自分のシーンが終わっても帰らないんですね。どんな事をやるかな〜と(笑)。これはすごかったですね〜。ま〜大変なもんですわ(笑)」
「じゃあ撮る側としても緊張のシーンですよね」
水野「というか、僕は面白かったですね〜。あっはっはっは。楽しんでました。これが女優さんなんだ〜という面白さが多分にありましたしね。あれは自分でもいいシーンだなぁと思います。ただ編集の時に「もっと短くしましょう」って言われても、いや!絶対切っちゃダメだ。全部使ってくれって言ってたんですね(笑)。あれは実は黒澤明の『羅生門』へのオマージュなんですけどね。後はね〜、僕はロープ投げが大変好きなんで、1でも2でも出てくるでしょ?へへ。あのロープ投げをどうしてもやるんだ!って。あれも何回も撮り直したんですよ〜(笑)。2の場合はね〜、5回ぐらい撮り直したかなぁ。編集でも直し直し、スローモーションかけたりコマ落としをやってね、いかにも長く飛んでる…あんなに長く飛ぶ訳ないんですよ(笑)。それなのになが〜〜い時間かけてね」
「すご〜いキレイに映ってますよね!あのロープ・ワークは1でも2でも本当に」
水野「はっはっはっは、そうですね〜。あれ大好きで3でも出てきますから。はっはっはっは」
「楽しみです!1はヒッチコックで、2は…全員が事件に関わるって事では『オリエント急行殺人事件』ですとか、1でも2でも山下大将が「居眠りですか?」と言われる所ありますよね。ああいう所はアガサ・クリスティー(注・5)の『ミス・マープル シリーズ』ですとか…。その場で推理して、その場で解決するというものにも繋がりますし、そして2では階段落ちがやはり…(笑)」
水野「あははははは。あの階段はね、もっと広い階段使いたかったんですけどね〜。あれホテル借りた訳でしょ。ですからあの広さが精一杯なんですよ。でもあそこは無声映画の手法を使いましてコマ止めをしたりコマ延ばしをしたり、音を止めてみたりスローモーションかけたりしましてやったんですけどね〜(笑)。」
「あの時山下大将が投げたのは…」
水野「灰皿です。あれホントはね、佐伯大尉がするはずだったんです。そしたら竹田(高利)君が別の仕事入ってて消えたんですよ(笑)。で、しょうがないからやっちゃったんで。あっはっはっは」
「じゃあ竹田さんはオイシイ所を持ってかれた…」
水野「持ってかれちゃったね〜、自分がいないから悪いんだけどね〜(笑)」
「あ〜なるほど〜(笑)。また2で言いますと、やはり長回しと言ったら(ブライアン)デ・パルマ(注・6)ですか」
水野「そうですね!『虚栄のかがり火』でブルース・ウィリスが出てきた所。あれをやりたくってね〜。でもよそ様のホテルですから360度の回転できない訳ですよ。壁があるんで。もうしょうがないからなが〜いレールを引いてですね、トラック・バック、トラック・アップと、それからズームレンズとパン(カメラ本体は移動せず、カメラの首を左右に水平方向に動かす撮影)できるようにして。この三つの手法であれをこなしてみたんですね」
「でもあれは長回しといい、とても限られた空間で撮影をされたようには見えませんでした。」
水野「ありがとうございます(ニコニコ)」
「ロビーもかなり広い…という訳ではなかったんですよね」
水野「狭いロビーでした。でも広く見せなきゃあかんって事で苦労しました。でも皆さん一生懸命やってくれましたもんね〜」
「お部屋の中もそのホテル部屋そのままを…」
水野「そうです!それを借りてやったんですね」
「では外の階段などもそうなんですね」
水野「そうです。あの階段に雨を降らせてね。撮ったのが12月だから寒い寒〜い時でね。福助さんや草笛さんがびしょ濡れになりながらやってくれたったいうのが、とても嬉しかったですね〜」
「お二人の息が白くなっていたのは、じゃあそれが…」
水野「そう!そうなんです。あと皆さんに是非見てもらいたいのは、少年と少女が別れる所ありますよね。あれは『第三の男』(注・7)の裏返しなんですね。『第三の男』は向こうから彼女がやって来て、ジョセフ・コットンがこちらで待ってますでしょ?あれを逆に、男はこっちで待ってるけど、彼女は向こうへ向かって去っていくというね。ところがスタッフはそれを途中で切ろうとするんですよ。編集マンもね。それをいやダメだ!全部これ消える最後まで残さなきゃ!ってね〜(笑)」
「ああ、あれは『第三の男』だったんですね〜」
水野「そう。皆さん分からない訳ね〜。ははは」
「わたしはてっきり『ナイアガラ』(注・8)でしたっけ?マリリン・モンローが最後向こうに歩いていく姿を狙ったのかと思ったんです」
水野「ああ〜『ナイアガラ』ね。はい、はい。『第三の男』なんです。それで流れる音楽がね、トロイメライですよね。トロイメライは『愛の調べ』(注・9)というキャサリン・ヘップバーンの映画で 、僕は少年時代に見てものすごく感動してね〜。あの曲を使いたいなぁ…と(笑)」
「今音楽のお話が出ましたが、2でのバイオリンの曲。あれもすごくイイ曲でしたよね」
水野「ああそうですか。ありがとうございます。あれは須藤温子ちゃんが弾いたんじゃないんですが、音だけ別撮りしましてね、彼女は形を真似てもらったんです。でも普通は(真似とはいえ)うまく行かないですよね。でも彼女は5日間で音まで出るようになりました。大したもんですよね〜」
「でも完璧と言っていいくらい音とピッタリ合ってますよね!」
水野「合ってましたでしょ?あの子はすごい子ですよ」
「そして2では中村福助さんに尾上松也君と、歌舞伎界からのキャスト起用でしたが、監督はやはり歌舞伎がお好きだからなんでしょうか」
水野「そうです。僕は歌舞伎大好きなんですね。だから出だしの所も拍子木の音で「チョーン」と入れてますでしょ。でも本当はツケ(俳優の演技に合わせ、大道具方が一人板に拍子木を打ち付ける事)を入れたかったんですよ。パンパンパンパーンというやつをね。でも3ではやりますけどね。はっはっはっは」
「壇上に口上の方が出て話しているような、威勢のいいナレーターですよね。オープニングといえば、出てくる「スーパー・シネマ方式」というのは…」
水野「あれはね、どう言ったっておかしいんですけど(笑)。結局マルチ・スクリーンで色々区切っちゃうでしょ?あれの事なんですね。マイ・カラーっていうのは時々色を変えてますでしょ?過去のシーンでパッとブルーになったりね。そういう特殊なカラーなんで(笑)」
「そうですか〜。1のオープニングでもかたせさんの足がとってもキレイで…」
水野「キレイですよね〜あれは!あれ驚いたね。彼女には二度やってもらったんです。最初は足だけ、二度目のシーンは全身でしょ。足の形といい位置といい、同じ所でやってくれるんですよ〜!」
  ※と、ここで外出されていた西田さんが合流
ボン「一秒も狂ってなかったですね!」
「立ち位置を決めていたかのように」
水野「そう、立ち位置と足の上げ方とかね」
ボン「彼女が足を上げて止まって、後ろ向きになってまたスッスッと歩いて行ってというのを2シーン撮ったんですが、ホントにまるっっきり一緒ですよ!!プロっていうのはそういう人なんでしょうね。テストってあるんですが、本番と同じ位置、間を同じにしないと録音さんもカメラさんも照明さんも困るんですよ。1でかたせさんが泣くシーンがありますよね。あれは28回撮ったんです。でもね、おーんなじ所で涙流すんです」
「ええ〜!?28回も、同じ所で」
ボン「もう最後は腫れちゃって撮れなくなったんですよ。なんでそこで終わりにしましたけどね。でも監督のOKは出てなかったんです。実は」
水野「でも大したもんですね」
ボン「それがプロなんでしょうね」
水野「プロの女優さんたちとお陰様で仕事をさせてもらったんで、結果、自分じゃ言っちゃいけないと思うんですが、良い仕事ができたと思います」
「そうですよね〜。本当にキャストの方々が素晴らしいです。これもやはり監督の人脈と人柄のなせる技だと思うんですが」
ボン「自分のフィルムですからね、好きなようにやってます。観客置いて行きますからね(笑)」
「あはははははは。いや、ちゃんと着いて行ってます!」
ボン「でも凄かったでしょ?(笑)水野さんの好きな映画が全部入ってるの。業界ではこれを「パクリ」って言うんですけどね」
一同大爆笑!の後ポツリ…
水野「じゃ ないよ〜」   で、また大爆笑(^◇^)
「1のどんでん返しはどういった意図から思いついたんですか」
水野「皆さんから質問されるんですが『テキサスの5人の仲間』っていう映画がありましてね。ヘンリー・フォンダとジョアン・ウッドワードの映画なんですよ。ある荒野の田舎町で大ばくちが開かれてるんですね。そこへ偶然開拓者の夫婦が子供三人を連れてやって来るんです。主人のヘンリー・フォンダがものすごいばくち狂いなんです。奥さんが常に止めて、彼もやらないって約束してるんですけど、そこへ来たら「もう1回だけ」とやってしまうんですね。そしてどんどん掛け金が無くなっていくんですね。そんな時にダンナが心臓マヒで倒れちゃうんですよ。それで病院に運ばれちゃう。こうこの一家は終わりか!って時に奥さんが「彼の意志を引き継いで、私がやります」と、何の賭事もした事がない奥さんが、それをやるんですね。目も分かんないんです。それでもどんどんお金は上がっていく。でもお金は無い。そこでどうするか。彼女はトランプを持って銀行へ行くんです。そして銀行の頭取にそれを見せるんです。そしたら頭取がびっくりして「よし!これなら俺が全部金を貸してやろう」と言う訳なんです。すごい手だと思うでしょ?当然ね。それでみんなはその賭けを降りちゃうんです。そこでね、この奥さんがいかに旦那さんの意志を継いで、こんなに気丈夫に、賭けも分からないのにやってる。すごい奥さんだ。女房とはこれが鏡なんだって、賭けをしてた人たちは家に帰ってみんなそう話すんです。そんなイイ奥さんにならなくてはとね。ところが、実はその二人ってのは夫婦でもなんでもなくて、その子供も含めて全員プロの賭博師なんです!」
「ほぉ〜〜〜!」
水野「ははは。それで銀行でお金を貸してくれた頭取、このお妾さんが、奥さんをしてたジョアン・ウッドワードなんですね〜。その彼女もめっちゃくちゃばくち狂いなんですよ(笑)。そして子供もね。それで最後はみんなで大笑いして終わるっていう話なんですけど。でもそういう事をして稼いでいるんですけど、一方ではイイ事をしてる訳なんですよね。人生の素晴らしさを周りに教えてる訳なんです。だからそういうどんでん返しが欲しいと思ったんですね。だから僕は映画の中で、日本人は戦争の悲しさを忘れてるんじゃないか!って外人さんに言わせて、でもそうじゃない。現在でも一人一人の心の中に残っているんだって事を語っておいて、その人に納得させる。イコール世界中の人に納得してもらう。でも現在の人たちはどうしようもない生活してんだよって笑い飛ばしてるんですけどね。でも人を騙したけど、良い事をしたじゃないかっていう風にやろうって事でね」
「ああ。あそこにお子さん二人が出てくるってのもそれの絡みなんですね」
水野「そうですね〜。ははははは」
「では今度は西田さんも。1で佐伯大尉をされてましたが、その経緯は」
ボン「あれね、実は僕プロデューサーなんですよ。予算が無かったんで出たという(笑)。ホントはジャッキー・チェンにお願いしようっていう話で。でもジャッキー・チェンがちょっと難しいんじゃないかってんで。それで真田(広之)さんにお願いしてね。真田さんだと水野先生の身長から考えると、アクションもできるし。でも真田さんが非常にお忙しいというんで。一番予算かからないのは誰だっていうんで、お前もずっと側にいるから、んじゃやれ!っていう事でね(笑)」
「元々お笑いをされてたんですよね」
ボン「元々はパントマイムなんです。喋んない方が」
水野「あはははは。ウソつけ(笑)」
ボン「いやいや(笑)。でもよく喋るもんですから、パントマイムやる必要無いんじゃないかっていう事になって、そしてお笑いの方へ入ったんですけどね」
「そして、監督と出会って…」
ボン「いや、たまたまですね。水野先生がアメリカの取材で、危険なトコありますよね。メキシコとか南米とか香港のクーロンとか。そういう取材を僕が行くようになりまして、安全な所は水野先生が行くという(笑)。酷い時はずっと行ってましたね。成田で荷物を積み替えて、そのまま行くという事も(笑)。」
水野「(むせる)ゲホッゲホッ」
「それで映画の方へ」
ボン「パントマイム始めたのも『天井桟敷の人々』っていう、大変な傑作なんですけど。ジャン・ルイ・バローっていうパントマイマーがいましてね。その人に魅せられて始めて、だから大道芸から始めたんですけどね。でも映画は好きで、気が付くとそういう方の道へ入っていましたけどね」
「2へ出られなかったのは」
ボン「あ、忙しかったんです!自分で映画作ってまして、借金取りに追われましてね(笑)。映画ってのは大変ですよ、ホントに。気を付けた方がいいですね〜」
「では今プロデュースで関わっている作品は」
ボン「今は無いです。今度パート3に、落ち着いたんで出ようかなと(笑)。佐伯大尉で出ます!また自分で作るとなると、次は分かんないですけどね〜(笑)」
「では流れも良く、3はどういう展開になるのかなど…」
ボン「すんごいです。これが水野の遺作になりますんでね〜(笑)」
一同爆笑
「スター・ウォーズのように、一大叙事詩ですよね〜」
水野「そうですね〜。これはですね、1941年に話が戻る訳なんですね。モスクワから列車に乗った山下将軍と佐伯大尉に、様々なヨーロッパの人たちが乗り合わせて、事件がいくつか起きていく訳なんですね。もちろん山下将軍も狙われて。そしてカット・バックで2001年の瀬戸内海。史跡巡りをしているクルーズ船がある訳ですね。その中でおんなじ事件が発生するんです。1941年のシベリア超特急の、全く同じ事件が発生するんですね。何故、誰が仕組んで、何を狙ってるんだ…という事になって、最後にアッと驚く真犯人が出てくると同時に、その二つが実は結びついていたという。戦争の悲劇がもたらした怨念ですね。それが最後に分かるんですね」
「となると、山下将軍は現代ではもう亡くなられてますよね」
水野「2001年は出ません。1941年の方だけ出るんですね」
「現代の方では、今度はどなたをメインで描かれるんでしょう」
水野「すごい女優さんたちを主役にして、2001年の方ですね。1941年の方は外人さん中心です」
ボン「今度の水曜日にオーディションなんですよ」
水野「外人さんのね」
ボン「ビッグ女優さんには水野先生が、これ見よがしに声かけて脅してますけど(笑)」
「ちなみにどのような…」
ボン「三田佳子さんとか」
「( ̄□ ̄;)!!!」
水野「松坂慶子さん、久我美子さん、水谷八重子さん…」
ボン「ね、これは出ていただかないと。あとは…お茶のおばちゃんですね」
水野「市田ひろみ(サントリーのほほん茶でメグ・ライアンと共演されてました)ちゃんね」
ボン「昔水野先生つき合ってましたからね〜(笑)」
「市田さんはお若い頃、ハリウッド女優のようにお綺麗ですよね〜」
水野「そうでしょ〜。」
ボン「あの頃フォーカスとかあったら大変でしたよね(笑)」
水野「ホントだね〜(ニコニコ)」
「では市田さんが映画に出られるとなると…何年振り…」
水野「久しぶりですね〜」
ボン「もう何十年振り。あと山本富士子さん」
「( ̄□ ̄;)!!!」
水野「若尾文子さん」
「( ̄□ ̄;)!!!丁度今増村作品が上映ですけど」
ボン「そうです、必見ですよ。もう若尾さん一番キレイな頃!もう昔ツバ付けた女優さん全部ですね。今ツバ付けようという(笑)、大変です」
水野「「もう一回付けようかという。あっはっはっは」
「また尾上君のように若いキャストも…」
水野「出ます!『(十五才)学校4』の男の子の金井勇太君ね、あとその女学生役の真柄佳奈子」
ボン「『学校4』はいい!」
水野「あれは傑作だね」
ボン「もう『学校』シリーズは山田監督どうしたんだ!?と思ってたら、『4』はいい!」
水野「あとは丹波哲郎さんだとかね、宇津井健さん、小林桂樹さんにも声掛けてるんですね。ただ倒れられちゃったからね。ひょっとしたら、僕が声掛けたから倒れたのかも知れない(笑)」
ボン「本当は元気なんだけど、声掛けられたから『やばい!』と(笑)」
水野「倒れたって言っとけ〜!とね(笑)。その線もあるな〜」
ボン「でも『シベ超2』のキャスティングはすごいでしょ?」
「ホント、すごいです!!」
ボン「パート3のキャストはもっとすごいので行こうじゃないかと!もう、スカして脅して、水野さん楽屋廻り全部してましたから(笑)」
「でも本当に、この皆さんに是非出て頂きたいですね〜」
ボン「もう水野先生の好きな女優さんに出て頂いて、何の圧力もなく撮ってる。(北野)武さんが、1番恐ろしい監督は誰?って聞かれた時『水野晴郎さんだ』と答えてましたし」
「あっははははははは」
ボン「『もう、1番好きなように撮ってるのは あの人しかいない!』って断言してました」
「うらやましいですよね」
ボン「そりゃそ〜ですよ〜。老後のお金を全部映画につぎ込んでる訳ですから(笑)。このバイタリティーはすごいですよ」
水野「武なんてのは¥儲けてるからいいけどね。僕なんかそんな儲けてないもんなぁ〜」
ボン「儲かってない所じゃないですよ!もう、身を切って今まで貯めてきたものを全部出してるんですから」
「特に、昔と現代をリンクさせて…っていう所は、テーマが壮大になりますしね」
水野「ええ。そのテーマが描かれて、真犯人が発見されて『そうだったのか!』と感動してもらって、字幕がズーッと出ますね。そして最後にまた!どんでん返しがある。これが映画史上最大のどんでん返し!!みんな のけぞりますよ!今度は」
ボン「どっからの圧力も無いってのは いいですよね〜(笑)」
「(笑)。外国人キャストの方々も、有名所にお声掛けてらっしゃるんですか」
水野「一応ね、デニス・ホッパーとね、マーク・ハミルなんです」(←あくまで サラッと・笑)
「( ̄□ ̄;)!!!」
水野「スター・ウォーズのね。でも分かんないよ。金がね〜(ニコニコ)」
ボン「だってマーク・ハミルに『悪いけど飛行機代だけで来い』と言う訳には行かないでしょう!それでも一応向こうにFAX送る水野さんが恐くてしょうがない!」
一同爆笑
イ「もし実現したら、ぜひライトセーバーみたいなモノをだして欲しいですね〜!!」
水野「そーそーそーそー!」
ボン「やっぱり『ブゥン』と(←ライトセーバーのモノマネ)!もう、これ出た日にゃ〜」
「大拍手ですね!!」
ボン「実は昨日ディズニーランドで買って来ましてね(前日、オープン前のディズニーシーへ行って来たとの事)、一応それを持たせてみるという。これ どうですか?」
水野「あ〜恐ろしい(笑)」
「新作ではどの映画へのオマージュが入るんでしょうか」
水野「やっぱりヒッチコックはたっぷり入ります。それとアガサ・クリスティーも入りますし、それから今度は木下恵介(注・10)使って見たいなぁ。『24の瞳』のね、ザァーッとしたあの横移動ね。まっちゃんが別れて行く所の」
ボン「映画人から見たらね、こんなに自分のフィルムで好き放題やってる人はいないでしょうね。オーソン・ウェルズが『市民ケーン』の中でやったパン・フォーカスも多用してるし。これ普通の照明の3倍必要なんですよ。贅沢ですよね〜。だからカメラマンも半端な人使えないんです。で、パート1で安藤さんにやってもらったんですが、ココだけの話、監督はそれでも不満だったんですから(笑)」
「小耳に挟んだんですが、モンゴルの方でもロケという…」
水野「ああ、あれは4です。でも生きてればの話(笑)」
「と、なりますと…・チョウ・ユンファとか…」
水野「ですよね〜」(←あくまで サラッと)
「ぜひジンギスカン役などで…」
水野「ああ、いいね〜」
ボン「1度脅してみましょうか(笑)?ジャッキー・チェンと2人」
水野「でもね〜、偉くなっちゃったからね〜」
「『アンナと王様』の王様、素晴らしかったです!ジョディー・フォスターが霞んでました」
ボン「あれは驚いた!前に彼は階段落ちみたいなシーンで、センベイ布団1枚で落ちてたんですけどね〜(笑)。あの当時はジョン・ウーより爆薬仕掛ける人の方が偉かったですし(笑)」
水野「爆薬は俺にはできないな〜」
「ぜひその火薬のプロも呼んで4、作って欲しいですね〜」
ボン「どうですか?山下閣下が拳銃バンバン撃って!」
「2丁拳銃ですねっ!」
ボン「そうそう!弾が飛んでくるトコをこ〜んな風に避けてね」
水野「MATRIXじゃないか!(笑)」
ボン「そうです!山下閣下が壁を走って、こ〜んな風に避けて来るんです!」
「『グリーン・ディスティニー』のようにも…」
ボン「竹の上をサァーっとね!もう半端じゃないっ!」
全員西田さんのアクションを交えての話に大爆笑。1息ついて…
「4以降のお話も…」
水野「他の映画も撮りますし、『シベ超・サーガ』の結論も着けたいと思いますね」
「その結論はどのぐらいで終わってしまうんでしょう」
水野「山下将軍のフィリピンの最後まで」
ボン「本当はね、『チョサン物語』という作品を撮るつもりだったんです。これはもう山下閣下の伝記もので。僕の役(佐伯大尉)だった方がずっと撮影中ついていてくれまして、もうお亡くなりになられましたけど。でも『シベ超』の山下閣下の軍服は、当時ご本人が本当に来ていた軍服なんですよ。ご遺族の所へ挨拶に行った時に、息子さんからぜひとお話頂いて、来たらピッタリだったんです」
「そうなんですか!顔も似てらっしゃいますし、縁と言いますか…」
ボン「その場で着てね。で、その時に(将軍の)霊魂が降りてきたんです(笑)!その将軍の、パート4のMATRIXシーン!ぜひ見てもらいたいですね」
水野「よせよ〜(笑)」
「では完結では山下将軍の最後という事で、また涙を誘うんでしょうね〜。ぜひその完結まで、楽しみにしております」
水野「やりたいですね。まぁ、僕が生きていればの話で(笑)。なるべく遺作を延ばしたいです」
ボン「『チョサン物語』も撮りたいですよね。閣下を担当していた、アメリカの弁護士が書いた物語なんです。戦犯と言われていたけれども、こんなに平和主義者はいなかった!と。だから将軍を最後に送るときは敬礼をしたそうですしね。あ、『風と共に去りぬ』を日本で最初に観たのって、山下将軍なんですよ」
「( ̄□ ̄;)!!!そうなんですか!?」
ボン「ディズニーの『ファンタジア』と2本立てでね。シンガポールを解放しに行った時に。向こうの人には山下将軍って英雄なんですよ。だから公園に行くと閣下の銅像があります。その時に『風と共に去りぬ』と『ファンタジア』を観て、こんなすごい映画を作る国とは、早く戦争をやめよう!と思ったそうですよ」
水野「その時山下将軍は『ディズニーランドに行きたい!』って言ったらしいです(笑)」
水野・ボン「ミッキーに会いたい!って(笑)」
「そうなんですか〜!!ではそのシーンも盛り込みがら(笑)。楽しみにしておりますので、ぜひ実現して下さい」
ボン「とにかくMATRIXで、走りますから!」
「笹の上でもぜひ!」
水野「そんなのありかよ〜(笑)」
「では映画解説時代の、番組を締めていたあの『言葉』で、締めて頂ければと思います」
ボン「はい!では、さいなら、さいなら、さいなら」
一同大爆笑!その後、西田さん水野監督共に、淀川さん、小森のおばちゃまのモノマネに突入
ボン「すごいですね、みんな映画を愛した人ですね(笑)。では、監督!」
水野「映画っていうのは私たちに夢を与えてくれますよね。夢であり、希望であり、それから歴史を教えてくれる。だからこそ、こう申し上げたいですね。いや〜、映画ってホントにいいものですね!
ありがとうございました!」

 西田さんが途中加わった事で、どんどん話は思いも寄らない方向へ行き、このインタビューでの盛り上がりを引きずって、いよいよ『シベ超』上映会へと突入しました。司会&進行はもちろん西田さん。フォーラム3へ入っての第一声が「ど〜も〜♪おすぎとピー子でぇ〜っす」でした。サスガです!そして黒澤明監督の編集室をお借りして『シベ超』を編集した際、黒澤監督に「超特急なのに、列車が動いてない!」と言われ、その時初めてそれに気付いた事、かたせ梨乃さんのスカートがうまく広がらなくて苦労した事、そして『ローマの休日』の台本を全て暗記して英語をマスターした事、『シベ超』だけの監督と言われたくないから、別の映画も錬っている・・というお話になりました。そしてみんなが気になるのはもちろん『シベ超』最新情報!女優さんをキレイに撮りたいという水野監督は、今世紀のオードリー、ヘップバーンを求め、すぐこのイベント後にオーディションをするけれど、岸恵子さんを使うとすぐ犯人が分かるから止めた…という裏話までしてくれました(笑)。しかも4には「インディー・ジョーンズ」要素も入るとか!MATRIXにインディー・ジョーンズ、グリーン・ディスティニー…。楽しみです。
 そして先日、遂に『シベ超3』の製作発表が行われました!残念ながら、我がフォーラムでも再び人気に火がついた若尾文子さんの出演は叶いませんでしたが、このインタビュー時にキャストで望んでいた方々が、ほぼ実現されています。スゴイです!詳しくはこちらを参照下さい↓。
http://members.tripod.co.jp/mizunoharuo/HaruoFiles/siberia3.html
水野晴郎監督、ぜひこのサーガを完結させて、私たちをこれからも楽しませて下さいね♪

                             Texted by 華澤陽子



<注釈>
注1→アルフレッド・ヒッチコック
言わずと知れたサスペンス映画の巨匠。1899年生まれ、イギリス出身。代表作は『サイコ』、『裏窓』、『めまい』、『レベッカ』、『北北西に進路を取れ』、『バルカン超特急』など多数。TVでは『ヒッチコック劇場』を手掛け、そのテーマ曲はあまりにも有名。ほとんどの作品のヒロインに金髪美女を起用し、自ら出演もするという出たがりでもあった。
注2→ウィリアム・ワイラー
1902年生まれ、ドイツ出身。アメリカ映画を代表する監督の1人。代表作となる『ミニヴァー夫人』、『我等の生涯最良の年』、『ベン・ハー』で3度、アカデミー作品賞&監督賞を受賞。
注3→吉村公三郎
滋賀県出身。監督2作目となる『暖流』(39年)が高評価を受け、後に新藤兼人監督と独立プロ「近代映画協会」を設立。山本富士子、京マチ子ら看板女優の育ての親となった。代表作に『安城家の舞踏会』、『夜明け前』、『越前竹人形』、『偽れる盛装』など。昭和51年紫綬褒章、57年勲四等旭日小綬章を受章。2000年11月没。
注4→ティッピ・ヘドレン
1928年生まれ、米カリフォルニア出身。モデルとしてキャリアをスタート。TVCM出演中、ヒッチコックの目に留まり、『鳥』のヒロインに抜擢される。代表作は『鳥』、『マーニー』、『伯爵夫人』など。先日仙台フォーラムで上映された、『セシル・B シネマ・ウォーズ』に出演したメラニー・グリフィスの母親。
注5→アガサ・クリスティー
1890年生まれ、イギリス出身。イギリスが生んだ世界のミステリー女王。名探偵ポアロ、ミス・マープルの生みの親。代表作は『そして誰もいなくなった』、『アクロイド殺人事件』、『オリエント急行殺人事件』など。著作の多くが映画化されている(人気絶頂期に謎の失踪を遂げた事も、『アガサ 愛の失踪事件』として映画化)。
注6→ブライアン・デ・パルマ
注1に示したサスペンスの巨匠・ヒッチコックの、現代の後継者と言われる映画監督。スローモーションを使った独特の演出や、長回しでのカメラ撮影などにファンが多い。代表作は『キャリー』、『殺しのドレス』、『アンタッチャブル』、『ミッション・イン・ポッシブル』、『スネーク・アイズ』など。
注7→『第三の男』
1949年、イギリス作品。『市民ケーン』で知られる名優、オーソン・ウェルズの代表作の1つ。売れない小説家が親友の死を探っていく、社会派ミステリーの古典。監督はキャロル・リード。ことに「光と闇」をうまく利用した撮影演出が見事。
注8→『ナイアガラ』
1953年、アメリカ作品。監督ヘンリー・ハサウェイ。アメリカ、そして世界を代表するセクシー女優、マリリン・モンローの代表作の1つ。物語のラスト、彼女が背を向けて歩いていく後ろ姿をズーッとカメラが映しているシーンは、後に「モンロー・ウォーク」という言葉を生み出した。モンロー自身、これを生み出す為に、わざとハイヒールの片方を短く切って歩いたという逸話も有名。
注9→『愛の調べ』
1947年、アメリカ作品。作曲家シューマンとその妻の伝記映画。『黄昏』などで4度アカデミー女優賞を受賞しているキャサリン・ヘップバーンが妻・クララを演じている。作品中、クララがリストの曲である「ラ・カンパネラ」を拒み、当時は無名だった恋人・シューマンの「トロイメライ」をピアノ演奏するというシーンがある。
注10→木下恵介
静岡県出身。1943年に監督デビューを果たし、『姿三四郎』で同じくデビューした黒澤明と共に、その後の日本映画を支える2本柱となる。代表作は『二十四の瞳』、『喜びも悲しみも幾歳月』、『野菊の如き君なりき』、『楢山節考』など。'87年 勲四等旭日小綬章を受賞。'91年 文化功労者。'99年12月30日没。その告別式では『野菊の如き君なりき』をモチーフに、たくさんの野菊で祭壇が埋め尽くされた。






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